笑顔を取り戻した桃農家さん

 桃農家さんにとって、お中元の季節は例年ですと最も注文の多い時でした。しかし、今年は違っていました。
 3.11から4か月が経ち、やや落ち着いてきたかに思えた矢先、まさにお中元が始まろうとしていた矢先、牛の稲わら問題が勃発し、桃農家さんは受注のほとんどがキャンセルされるという事態になってしまいました。なすすべはありません。キャンセルを受け入れるしかありません。今年の桃は特によくできたのに、です。
 出荷先はなくても、桃の手入れはかかさずしなければなりません。農家のご夫婦は、笑顔もなく会話もなく、失意のうちに黙々とするべき作業を行っていました。こんなにおいしそうにできた桃を捨てるしかないのか...県の検査で安全が確認され出荷許可も出ているのに...いろんな思いが胸を去来します。
 そんな矢先「二本松農園」を知ったのです。ある日の夕方、ご夫婦で桃の見本を持って訪ねて来られました。自慢の桃だけあってとてもおいしそうです。さっそくネットに載せました。載せるとすぐに待っていたかのように注文が入りました。このように応援買いをして下さる方々が日本全国にはいらっしゃるのです。
 さらに東電とも購入していただくよう契約し、毎日数百件の注文が入るようになりました。
 このようにして「二本松農園」と契約した桃農家さんは例年通り出荷することができました。
 あの桃農家さんは、昨日ぶどうを持って再び訪ねて来られました。これまたおいしそうなぶどうです。試食させて頂きましたが、種無しで甘く深みのある味わいでした。ネットで購入される方は現物を見ないでお買い求めになられるので、その期待を裏切るような商品をお届けする訳にはいきません。このぶどうなら大丈夫です。
 雑談の中でこんなことを話されました。稲わら問題の時は、本当にどうしようかと思った。しかし今、農作業も笑いが絶えることなくうるさいほどおしゃべりをしながらするようになったんですよ、本当に感謝ですと。その笑顔は本当に喜びに溢れて、こんな冗談も言えるようになりました。「桃は稲わらは食べないんです!」と。

 買って下さったネット購入者の方々、東電の方々、ありがとうございます!しかし、これで終わりではないのです。引き続き皆さまのご支援を宜しくお願い致します。