『キリストにならう』4

平和と思いやり
まず、あなた自身のうちに平和を保ちなさい。そうすれば、他人にも平和を分けることができる。平和な人は、偉大な学者よりも他人のためになる。感情的な人は善さえも悪に変え、また悪を信じやすい。ところが、平和を愛する人は、すべてを善に変える。心を平和に保っている人は、誰をも疑わないが、不平を言い怒りっぽい人は、いろいろな疑いに苦しめられる。その人は自分も平和を知らず、また他人の平和をも乱す。またそうした人は、しばしば言ってはならないことを言い、自分のしなければならないことをおろそかにする。彼は他人のすることに気をつかい、自分の務めは怠る。だから、あなたはまず、自分の霊魂について熱心でありなさい。そうすれば自然に、隣人のことにも熱心に注意することができるであろう。
(第2巻第3章1)