聖書週間:レクチオ・ディヴィナ(神的読書)1

 「レクチオ・ディヴィナ」が今日私たちの間で復興してきたことは喜ばしいことです。これは、カトリック教会の伝統的な祈り方で、すでに2世紀にアレクサンドリア(エジプト)のキリスト信者の共同体で実践されていました。
 私たちは聖書を読み、神様のみ言葉に出会いますが、それを知的に理解することのみに留まってしまっていては生きる力にはなりません。「知る」ということは大事な一歩であることには違いありません。しかし、その段階ではまだみ言葉と自分の間に溝があります。その溝がなくなってみ言葉と自分が一つになった時に自分の生き方が神への道へと変えられます。レクチオ・ディヴィナとは、いわばその溝を埋める方法を教えてくれるものです。
 そのために、まず、心を整え「沈黙」の時を持ちましょう。
沈黙しよう、
み言葉に耳を傾ける前に。
私たちの思いはすでにみ言葉に
向かい合っているのだから。
沈黙しよう、
み言葉を聞いた後に。
それは私たちの中に生きて住み、
なお語り続けるから。
沈黙しよう、
暁に目覚めた時、
最初に聞こえてくるのが、
神からの言葉であるように。
沈黙しよう、
夜、眠りにつく時、
最後に聞こえてくるのが、
神からの言葉であるように。
沈黙しよう、
み言葉を聞きたいからこそ。
               ディートリッヒ・ボンヘッファー

(注)ディートリッヒ・ボンヘッファー(Dietrich Bonhoeffer、1906-1945):
ドイツのルター派(福音ルーテル派)の牧師。20世紀を代表するキリスト教神学者の一人。第二次世界大戦中にヒトラー暗殺計画に加担し、別件で逮捕された後、極めて限定された条件の中で著述を続けた。その後、暗殺計画は挫折。ドイツ降伏直前の1945年4月9日、処刑を急ぐナチスにより、フロッセンビュルクの収容所で刑死。