インド旅行報告2「聖母マリアのバジリカ」Basilica of Virgin Mary




左からスタニスラス神父様、フレデリック神父様(マレーシアから)、アルルスワミィ神父様(デリーから)
巡礼者はこの路上で寝ます。5月には隙間もないほど混雑するとのことです。

 私は全く知らず、また、インドについての日本のガイドブックにも載っていないのですが、タミルナドゥ州の海辺、ベンガル湾のヴェランガニ(Velangani)にはこのような驚くべき「聖母マリアのバジリカ」がありました。
 叙階式の前日、共に神学を学んだザビエル師の友人司祭方がマレーシアやデリーなど遠くから集まってきました。その神父様方と共に車をチャーターして行ってきました。
 ティルチラパリから東へ車で3時間。到着すると、そこはデズニーランドと一緒にするのは不謹慎ですが、規模としてそれに匹敵するくらいの広さはあろうかと思いました。予備知識のなかった私はただただ驚くばかりでした。インドのカトリック人口は2%に過ぎません。日本は1%。人口の違いはあるにしても%としては同じような数字です。これほどの寺院を立てるインド人の信仰心に圧倒されました。
 さらに驚くことには、ここはカトリックの寺院にもかかわらず、多くのヒンドゥー教の人たちも訪れるのだそうです。女神を崇めるヒンドゥ教の方にはマリア様を礼拝することにも抵抗はなく、むしろ、ヒンドゥ教の寺院と違って動物のいけにえを捧げる必要はないし、従って血が流れることもなく清潔でもあり、好んでやってくるのだそうです。
 最も人手が多いのは聖母月の5月で、その時期は歩くスペースもない程だそうです。しかも、多くの人々はここに数日から一週間ぐらい滞在して祈りを捧げるのが通常なのだそうです。
 というのは、ここは「東のルルド」とも言われ、不治の病の方々がここでマリア様に祈って癒されるので、多くの病人がやってきます。膝で歩いて犠牲を捧げるための道も作られていて、多くの人で溢れています。
 これほどの人がどこに泊まるかって? 熱い夏のことですから、地面にござを敷いて夜空を見上げながら寝るのが一番、ということで、混雑期には寝る場所を確保するのも大変らしいです。
 インド人の信仰心、懐の深さにはやはり感動します。そして、インド人のマリアへの思いの深さの一方、日本では何故このように聖母マリア様への信心が強くないのだろうと、という疑問がふと湧いてきたのですが、それに対する自分なりの解答として、仏教では観音様を拝むにしても性別は超越していますから、日本人は「女性」に向かって拝むという意識があまり育っていない土壌だからなのだろう、と思いました。
 建物は、聖堂が4つ、キリストの生涯を人形で展示した博物館、聖母マリア様に祈って病気等が癒され感謝として捧げられた銀や高価な物品が展示された建物、ご聖体が顕示された礼拝堂、などなどですが、パンフレットが入手できていないので、その他についてはあまり確かな情報がなくてすみません。