来訪者

 「マザー・テレサ写真展のポスターを見ました」と言って若者が電話をくれた。月曜日(9日)のことだ。その日は、松木町教会の友人が朝ミサでオルガン伴奏をすることになったので教えてほしいということで、ちょうどその友人と私は教会にいた。ポスターには教会の電話番号は載せてないので、若者はインターネットで二本松教会の情報を得たようだ。日曜日にミサが3時からあることは知ったが、彼はその前に下見に行きたいというので、では水曜日に来るようにと私は言って電話を切った。
 水曜日(11日)の約束の時間に彼はやってきた。なかなかの好青年である。彼は看護学校の学生で、その学友に郡山教会所属の信者さんがいて、その学友からも若干の情報は得ていたようだ。いろいろと話をしていく中で分かったことは、彼は今までキリスト教について学んだことはないが、非常に興味があって、以前に二本松のプロテスタントの教会にも足を運んだこともある。今回、安達公民館(二本松駅の一つ隣りの駅近く)で写真展のポスターを目にしたのでやってきた。
 キリスト教にいろいろと興味を持つので、私は彼の質問に答える形で説明していった。そして、信者にはどうすればなれるのかという聞くので、私は「知らないことを信じる訳にはいかないので、キリスト教はまず、勉強しないといけないんですよ」と答えると彼は、勉強したいと言い、いつから教えてもらえるか、今は夏休み中なので明日にでもという勢いで迫ってくる。彼はむしろおとなしい感じで自分から余計なおしゃべりをするようなタイプではないが、その胸に秘められた熱い思いがほとばしり出ている。興味を持つので『カトリック生活』の古い版を何冊か差し上げた。
 その日は、松木町教会の友人がオルガンを習いに再びやってきていたが、おいしいスリランカカレーのお店ができたということで3人で食べに行って解散した。
 12日の今日、彼は約束の時間にやってきて、さっそくカテケージスの勉強を始めた。私は2回分を準備しておいた。彼の反応を見ながら、1回分を終えたところで、これで終わりにするかもっと続けるかと尋ねると、彼は続けてほしいと言うので、結局カテケージスの勉強は2時間に及んだ。
 終わった後、彼の顔には満足の表情が見て取れた。このようなことを学びたかったのだと言う。そして、次回の勉強はいつか、と彼の方から尋ねてくるので、では来週…と私が考えていると、彼の方から日曜のミサに参加した後、月曜日と水曜日に来てもいいか、と言うので、彼の積極性に押されて私はOKした。
 この突然の来訪者という出来事とその急速な進展に、私は何事が起きたのかとしばし呆然としていたが、神様が送って下さった方に違いない、と思った。