出会い

 「マザー・テレサ写真展」はいろいろな出会いももたらしてくれた。「日本マザー・テレサ協労者会創立者」のアンドレ・ボーガルト神父様からご協力のご連絡があったことは以前に書いた。
 その後には、村上光雄さんという方からお電話を頂いた。この方は画家で日本全国の教会をスケッチして歩き、それを3冊の本にまとめ出版しておられる。『やすらぎの教会』(里文出版)と題したこの本は、第一巻が北海道から東京までで156の教会、第二巻は神奈川県から山口県までで194の教会、そして第三巻は香川県から沖縄県までで218の教会を掲載している。もちろん二本松教会もあった。いずれもパステルスケッチで教会の守護天使名や教会の歴史が簡単に紹介されている。
 これらの本を送って下さり、よければ写真展で販売して頂いて、その売り上げは二本松教会に献金したい、と申し出てこられた。村上さんは現在東京在住だが、お生まれは福島県須賀川市で、二本松にはご親戚があって、子どもの頃よく遊びに行って思い出深い町だと語られた。このような方からご連絡を頂くことは嬉しいだけでなく、1億人の人口の中で出会うことの神秘を思う。また、村上さんにとってもカトリック新聞で「二本松」の私の記事をご覧になって懐かしさに耐え切れず、ご連絡を下さったに違いない。御年85歳になられる村上さんのこの申し出が、村上さんにとっても私たちにとってもこの本と出会う方にとっても喜びとなるように祈らずにはいられない。本に同封されていたお手紙も和紙にペン字の達筆の名文で、日本文化の美しさを保持しておられる方であることも、忘れずに記しておきたい。
 この本をめくっているうちに、村上さんがご自分の足で一件、一件の教会を巡礼してスケッチされていた時のそのお気持ちに私の気持ちも重なった。このようなことを始められた動機は何だったのだろう。スケッチなさりながら何を思っておられたのだろう。「巡礼」ということに私はとても心引かれる。