聖体奉仕(8)

 先週、記事を書くのを失念してしまったが、先週は橋本さんと二人で、安田さんと渡辺さんのところにご聖体奉仕に行った。
 渡辺さんは前回伺った時に橋本さんに会いたがっていたので、今回は一緒に訪れた。脳梗塞をされたことがあるので、動作はゆっくりだが、お元気だ。橋本さんが言うには、気丈なところがあるので、しっかりしておられるのだ。渡辺さんは伺うといつも気をつかって、私たちに何かを下さるのだ。今回も聖体拝領が終わると引き出しを開けてごそごそと何かを探し始めたので、気遣いはなさらないようにと言ったが、年長者として受けるだけでなく与える者でありたい気持ちがおありなのだ。橋本さんも私に受け取るように促した。差し出されたはがきを有難く頂いた。
 先週、安田さんのところへは午前10時半ごろ伺ったが、その日は苑の遠足の日になっていた。市内にある岳温泉のグリンピアというところへ行くとのことだ。遠足と言っても多くの方は車椅子なのでもちろんバスで行く。希望者だけが行くことになるが、安田さんは申し込んでおられたのに、体調があまりよくないから行かないと言い出した。係りの方がやってきては「お昼も向こうで食べるように注文したんですよ。」と誘い出だすのだが、安田さんはどうしても行かないとおっしゃる。そして、私たちに「本当は楽しみにしていたんですが、どうも調子が悪くてね。」とおっしゃる。確かに、私たちが入って来た時、安田さんは腰のあたりをしきりにご自分でさすっておられた。私は安田さんの真意が測り兼ねていた。身体の調子は本当によくないようだ。次の係りの方が来られて、同じように行きましょう、と声を掛けたが、ダメだ。係りの方は若い女性だが、ついに3人目の方が来られた。そして、きっぱりと「さあ、安田さん行きますよ!」と有無を言わせぬ貫禄で断言した。すると安田さんはあっさりと承諾した。しかもニコニコをしておられる。あれ?本当はやっぱり行きたかったのかな。
 そして今日、先週の遠足の話を伺った。ま、楽しかったですよ、とはおっしゃったが、バスで目的地に行き、お昼を食べて帰って来ただけですよ、ということだ。温泉に行ったのだが、温泉に入った訳ではない。要介護の方々ばかりで行くのだから、それ以上のことができる訳はないのだ。自分で歩いてバスに乗り込んだのは安田さんだけで、他の方々は皆車椅子だった。
 気持ちもまだ若い97歳の安田さんにとって、話し相手など、友達でもそばにいればいいのだが、同室の他の3人はいつも寝ていて、挨拶以外会話というものはないそうだ。かといって安田さんも何か新しいことを始めるほどの体力や気力がある訳ではない。疲れやすさには勝てない年齢だ。何かないだろうか。自分の無力さを感じる。