安田さん/故安斎さん

 今日は、午前中に安田さんのところへご聖体をお持ちして、お昼から先日帰天された安斎さんの遺影をお返しに弟さんの会社へ行った。
 今日は気候も良く気持ちのいい日だった。そのお天気も手伝ってか、安田さんもいつもより明るかった。服も夏服らしい服装で、会うと満面の笑みで私を向かえて下さった。私はいつものように端においてある椅子を安田さんのそばまで持ってこようとすると、安田さんが私を制して、ご自分で私のために持ち上げて移動して下さった。こういうところが安田さんはジェントルマンだ。
 今日の安田さん訪問のもう一つの目的は安田さんの写真を撮ることだった。先日の仙台教区の教会委員長の集いで、各教会の紹介用に信徒の皆さんの写真を準備することになっていたが、間に合わせの写真しかなかったので、差し替え用に写真を撮り直すことにした。そのために安田さんにお願いしたところ、快く応じて下さった。後日、ミサのある日にリゲンザ神父様を囲んで皆さんと一緒に撮り、その写真に貼り合わせて送ろうと思う。
 私が盛岡に行った留守の日に、二本松教会では6月1日に帰天された安斎さんの追悼ミサが行われた。喪主の弟さんはカトリックではなく、お葬式は密葬で行われた。おそらく安斎さんご本人は教会で葬儀ミサの形ですることを望んでおられた。というのは、生前私にカトリックのお葬式が特集された『カトリック生活』のコピーがほしいと言われ、それを弟に教えておきたいからと言っておられたからだ。お墓の問題もあって教会での葬儀は無理と思った安斎さんは、追悼ミサを望まれた。安斎さんは、ご自分の死を覚悟しておられ、身辺整理のため、私にバッグや服や本などをもらってほしいと言っておられた。さらに、ご自分の苦しみにもかかわらず、治療方法のない病気で苦しむ友人に電話をして慰めといたわりの言葉をかけていた。彼女は癌だった。抗生剤の治療は副作用が辛く、途中から受けるのをやめていた。最期の様子を伺った。最後までマリア様のご像を握り締め、一緒に洗礼を受けたお姉さんが「マリア様が見えるの?」と聞くと頷き、さらにそのマリア様を高く上げるので、「イエズス様が見えるの?」と聞くとはっきりと頷いたとのことである。そして、まもなく苦しまずに静かに息を引き取られた。
 安斎さんは教会のために積極的に尽力された。いつもアイディアを出し、教会活動をしていく上でみんなをリードする働きをなさっていた大事な人材だった。若い頃はアメリカに住んでおられたこともあり、幅の広い視野で物事を考えておられ、考えたことは実行に移す方だった。享年70年。主が生前の安斎さんの信仰を祝福し、天国で聖人たちと共に安らかに憩うことができますように。