あるお客様

 7月22日付のカトリック新聞に私の活動が掲載された。その記事を目にされたある男性が電話を下さった。支援として定期的に野菜を購入したい、と。その時から、定期購入が始まった。月に2回、約2,000円分の野菜を購入してくださる。最初はWEBショップにある商品を購入してくださっていたが、お電話で何度か話すうちに飽きがこないように、旬の野菜を2,000円分、私の方でアレンジしてお届けするようになった。
 彼はある病気のために、ほとんど外出することがない。そして、その病気のために彼は差別の苦しみを味わったこともある。そうした外部からの無理解が一層彼の病を重くした。
 そういう彼は、ある意味、助けを必要をする人なのだが、彼はカトリック新聞で福島県人として差別された私に共感を覚え、そして、助けなければならないという使命感を持った。彼は生活保護を受けて生計をたてているらしいので、生活費には限りがある。その限られた予算の中でなんとかやりくりをして福島野菜購入の資金を捻出して定期購入してくださるのだ。だから、支払いはまとめて月の初めと決まっている。
 彼は言う、差別はよくない。僕は差別された人の気持ちが分かるから、僕はあなたを助けたい。野菜を買って応援したい。僕は病気があるから外にも出られないし、何の役にも立たないけれど、新聞を読んで、これなら僕にも助けることができる、と思ってカトリック新聞社に電話してあなたの電話番号を聞いて連絡した、という。(カトリック新聞社から私の電話番号を教えていいかどうかの問合せがあったので了解した。)
 昨日もまた、電話を下さった。僕は月に2回ではなく、3回購入したいと思う。あなたが送って下さる野菜は本当においしい。僕はトマトは嫌いで食べなかったけど、送られてきたトマトを食べたらおいしかった。桃もおいしかった。あなたがアレンジしてくれるので、少しずついろんな野菜や果物が入っているし、これはありがたい。でも、おいしいからすぐに食べてあっという間になくなってしまう。だから、他のものを節約して月3回にしたい、と。
 さらに話を続けて、この活動を止めないでくださいよ。福島が復興できるまでには何年もかかるけど、がんばって続けて下さい。もし、あなたが辞めたら僕も困るんですから。
 時折、休みもなく続けているこの活動に対して、いささか疲れを感じた時に、ふと私が辞めたら、などという思いが脳裏をかすめることがある。その誰も知らない私の思いを彼に見透かされたようなお電話だった。神は見ておられる...。