『ニューマンの文学と思想』

 震災とは全く別の話題ですが...昨年9月19日に列福されたジョン・ヘンリー・ニューマン枢機卿について、日本では明治時代から知識人の間ではすでに知られていたにもかかわらず、彼の著書の多さと内容の深さと英語の難しさのために、残念なことにあまり翻訳されておらず、その作品に触れることはできずにおりました。
 しかし、この度、ニューマン研究家のお一人長倉禮子氏が列福を記念して、少しでもニューマンについて知って頂きたいとの思いから、著書を上梓されたとのことで私にもお送り下さいました。これを手にして、私はこれはぜひ皆様にもお読み頂きたいと、ここにご紹介する次第です。
 なお、私のブログでも列福に伴い昨年9/13から数回に渡りニューマンについて簡単に紹介しておりますので、関連してお読み頂ければ幸いです。
『ジョン・ヘンリー・ニューマンの文学と思想    −影と幻から真実へ−』
長倉禮子著
A5判上製240頁
本体価格3,800円
知泉書館
長倉禮子(ながくられいこ)プロフィール
1935年静岡市生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程修了。元山梨県立女子短期大学(現・山梨県立大学)教授。現在、日本ニューマン協会幹事。

目次
まえがき
第1章 ニューマンの生涯について
第2章 神の聖徒(みつかい)の顔は笑みつつ我を迎えん――Lead, Kindly Light!
1 植村正久による Lead, Kindly Light! の翻訳と紹介
2 Lead, Kindly Light! 誕生の背景
3 詩人としてのニューマン
第3章 心が心に語りかける
1 ニューマンの説教について
2 心から心に伝えられる福音
3 説教「友との別れ」(邦訳)
第4章 人と人との出会いの場である大学
はじめに
1 ニューマンの大学論について
2 大学教育の原点
3 大学教育の目的
4 善に資するものの媒介としての教養教育
おわりに
第5章 彼女は土の塵よりあげられ……―3世紀の物語『カリスタ』
はじめに
1 物語のあらすじ
2 物語の舞台設定,人物描写,物語の構成
3 カリスタの人格形成と成長の軌跡
4 カリスタの内的変化から人格の完成へ
5 『カリスタ』をめぐるテーマについて
おわりに
第6章 わたしはいま お前をやさしく抱き……―「ゲロンシアスの夢」
「ゲロンシアスの夢」について
「ゲロンシアスの夢」(邦訳)
あとがき