高齢化社会の現実

 安田さんのところへご聖体を持って行った。すると、思いがけずに、ちょうど娘さんが来ておられた。お会いできて良かった。初対面なのに、前からの知り合いかのように気さくにいろいろとおしゃべりをした。東京在住の娘さんはご主人がほとんど寝たきりの状態で、こうして二本松にいるお父さんを月に一回訪問するためにはご主人を病院に入院させてやってくるのだという。だから、97才のお父さんの方がはるかに元気で手はかからないと言う。「父はとても努力する人なんです。」とおっしゃる。本当にそうだ。私が車椅子を勧めても、ご自分の足で歩くことを選ばれる。娘さんは本当は二本松市に戻りたいのだが、そうもいかないとジレンマがあることを話された。
 高齢化社会は本当に大きな問題だ。
 マザー・テレサ写真展においでくださった私の中学時代の恩師も、卒業以来なので実に40年ぶりにお会いしたが、近況を伺うと奥様が老人介護施設にお世話になっているものの3ヶ月しかいられないので、その後どうすればよいのかと悩んでおられた。
 埼玉にいる私の友人から電話がかかってきて、大学生を頭とする3人の子どもたちを育てながら癌で寝たきりの両親の世話をしなければならず、疲れ果てたと言う。夫もとても協力的だが、その夫も仕事をしながらなので、もう無理だと音を上げていると言う。
 無理でも、ダメでも、この現実から逃げることはできない。この現実を生きていかなければならない。全てに「待った」はない。マザー・テレサならどうしただろうか。